2013年6月3日月曜日

【連載コラム】井上×小野寺対談 「学生がボランティアに参加することの意義」


 

③学生がボランティアに参加することの意義

・学生と社会の関わり、学習との相乗効果

井上:大学生が社会と関わる場所が普通の大学生だといかに無いか、というのがある。おそらく学生は社会で貢献するために勉強しているにもかかわらず、キャンパスという閉ざされた空間にいる気がする。この問題点に僕は震災が起きるまで気づけなくて、震災後に外に出るようになって、(震災に限らなくても)学習との相乗効果が得られることがボランティアに参加することの意義ではないかと思った。復興の促進はそれはそれとして、いかに勉強が役立たずかということがすごく大きい。会社がだめになった時など、それを強く感じた。理論上は教科書を読んで分かっているつもりでも、そこで生きている人の感情もあるし、、、

小野寺:現実では上手くいかないことが多々あると?

井上:そう。どんな形であれ、自分の学問に関わってくるし、ボランティアの活動は結びつけやすい。なんでもいいから外に出てみるといいのでは。なかなかこういう観点から震災ボランティアを見る人は少ない。

小野寺:「こういう観点」というのは?

井上:復興ボランティアとか、東北の学生だから行くべきだとか、そういう「べき論」に収束しがち。

小野寺:震災が起きる前はボランティアに参加する学生は多いとはいえず、自分自身がそうだった。震災が起きると「ボランティアに行きましょう」という風潮になっていることに少し疑問を感じ、そこでなぜそもそもボランティアに行くことが良いことなのかが分からなくなってきた。

井上:ボランティアに行くことのメリットは、いかに自分がだめな人間かというのが分かること。例えば心理学を学んでいる学生が、仮設住宅の心のケアのボランティアに行ってみてください。いかに心理学が役立たずか分かり、自分が悩んで学校に帰ってくる。そしてもう一回勉強しようと思う。このようなサイクルになっていけばいいのではないか。端的に言うと、学校の勉強だけで満足するのは危ないということで、井の中の蛙状態でこのまま社会に出るのは本当に怖い。

 

・世代の離れた人と出会うきっかけ

井上:仮設住宅や農家に行くと、全く違う年代の人がいる。そこで新たな学びがあると思っていて、これからより高齢社会が進んで、一人ひとりが介護に関わらなければならない時代が来ると予想している。その時に、核家族化のなかでおじいちゃん・おばあちゃんとの関わり方がわからないというのは大変なことじゃないかと思っている。僕は3世代で育ったから抵抗はないが、おじいちゃん・おばあちゃんとの接し方なんてのは、特に東北大に来るような学生は学校で教えてくれない。ボランティアはそれを体験するきっかけになる場所でもある。各被災地はものすごい高齢化で、山元町は30%強が65歳以上。

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東北大学地域復興プロジェクト"HARU"は、
東日本大震災からの復興支援・地域再生を目的として結成されたボランティア団体です。
現在は主に、仮設住宅での
支援活動をおこなっています。
東北大学の公認をいただいており、今後も地域に寄り添った活動を続けていく予定です。