2013年5月28日火曜日

【連載コラム】井上×小野寺対談 「2011年後期の活動」


・半澤農園の方との出会い

井上:812日に、一般ボランティアと一緒に山元町に行き、当時はボランティアセンターが機能していて(現在はやまもと復興応援センターと名前を変えて機能している)、仮設や農家の方のボランティア依頼を振り分けるシステムがあった。僕はたまたま半澤農園に振り分けられて、そこで単発の活動をした。当時、徳広さん(半澤農園6人兄妹のお一人、いちご農家)は京都に出稼ぎに行っていたのでお母さんが対応して、楽しく活動をしていた。その辺からいちご農園に携わっている、かれこれ110か月くらい。

 後期から学校が始まり、10月から半澤農園に専属でボランティアに入るようになる。当時は毎週月曜日に行っていた。

小野寺:それはまだHARUの活動ではない?

井上:そう。HARUでいちごプロジェクトをやろうと思ったのは2012年の夏休みを過ぎたあとから。そこは個人でやっていたし、ちゃんと特定の人と関係性を持ってやりたかった。そこで半澤農園の方に頼りにされたのはうれしかったが、反面期待にこたえられない所もあった。最初は農作業、10月は葉っぱを切ったりなど。

 

・学祭後の動き

井上:11月中旬からHARUがまだ細々をやっていることを聞き、学校の空いた時間に何かできたらと思い、ちゃんと入りなおしたのがいちごじゃなくて、図書館プロジェクトからだった。図書館は2週間に1回、放課後活動した。いちごも週1くらいでやっていて、年末の話になった。のべ1500人以上のボランティアが半澤農園に来ていたことから、名前や住所を書きためたノートを使って年賀状を書きたいとお母さんが言った。僕は、最初は無理だ、そんなことはできない、いちごの作業が回らないと反対した。だけど僕はパソコンが他の人よりは使えるから住所の打ち込みやレイアウトをやることにした。この年賀状作成をしたのが、農園の中で自分がやった初めての大きな仕事だった。これは自分でもよくやったと思う。1000人以上は名前を打ち込みした。

小野寺:期間はどれくらいかかったか?

井上:3~4週間かかった。週1回行って、一日6~7時間くらいやった。クリスマス前にはなんとか間に合った。年賀状が帰ってきたときはやっぱりうれしかった。

 

・半澤農園の農業法人化

井上:当時は震災後の経営の立て直しや販路拡大を目指し法人化をやっていた(「燦燦園」。山元町はGRAなど農業法人がいくつあるが、やってみようということになった。しかしなかなか資金繰りがうまくいかなくて、一番の問題は会計が全く別のところでやっていた。(省略)また個々の農家も気が強く、まとまらなかった。2012年の4月にはほぼ倒産状態に。登記も、資本金もやって、独自の販路を開拓しようとして震災を機に新しいことをやろうとしたけど、うまくいかなかった。その時に自分の中で貢献できなかった悔しさが強かった。「俺がもう少し会計的な知識があったら、ちゃんと、もう少し会社が回ったのに」という悔いがある。そこから勉強も頑張ろうと思うようになった。

 

2011年後期のHARU全体の活動について

井上:教育支援、菜の花、図書館プロジェクトの三本立て。今残っているのは教育支援だけ。教育支援はこれからどこで活動するか、探り探りの段階だった。菜の花プロジェクトは農学部と連携して、若林区の農業園芸センターに菜の花を植えていて、塩害を受けた農地に菜の花を植えて栽培・管理をした。2012年の6月末にアーケードで菜の花の写生・写真大会を開催してプロジェクトは終了した。塩分除去の効果は思ったよりなかったらしい。図書館プロジェクトは20128月を持って終了。

小野寺:HARUの活動はいくつかあって、継続性があるものと目標まで到達したら終了しるものに分かれるのか?

井上:ぐだぐだ続けるよりも、ある程度まで到達したらなくなるほうがいい。ただ、教育支援や農業については終わることがないと思う。これからやる足湯プロジェクトについても、あと5~6年したら仮設が無くなり、皆公営住宅に移ると思うけど、その中でも皆が集まれる集会所的なところはあった方がいいと思う。そういうところでプロジェクトが出来ていければいいと思う。個人の考えとしては全ての活動が無くなるのが理想で、現地の人主体で回るのが良い。特にもともと山元町は若手の人がいない土地だから、若い人が行くだけで喜ばれる。復興が完了したとしても何らかの形で関わることは大事。

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東北大学地域復興プロジェクト"HARU"は、
東日本大震災からの復興支援・地域再生を目的として結成されたボランティア団体です。
現在は主に、仮設住宅での
支援活動をおこなっています。
東北大学の公認をいただいており、今後も地域に寄り添った活動を続けていく予定です。